避妊に失敗したかもしれないと気づいた直後は、「妊娠したかも」「今から何かできるのか」と不安になり、何を先に確認すべきか分からなくなりやすいです。
ただし、性行為の直後に妊娠しているかどうかをその場で確かめることはできません。妊娠検査薬もすぐには反応せず、出血や腹痛などの体調変化だけで判断することもできません。
大切なのは、今この場で妊娠の有無を断定しようとすることではなく、性行為から何時間経っているか、どのような避妊失敗があったのかを整理し、妊娠を防ぐために今できる対処があるかを早く確認することです。
避妊なしの性行為、コンドームの破損・脱落、外出しへの不安、低用量ピルの飲み忘れなどがある場合は、緊急避妊の相談が必要になることがあります。緊急避妊の代表的な方法のひとつが、一般的に「アフターピル」と呼ばれる緊急避妊薬です。
この記事では、避妊に失敗したかもと思ったときに今すぐ確認すべきこと、妊娠リスクが残りやすいケースや対処法まで解説します。
避妊に失敗=妊娠ではない【状況別の確率について】
避妊に失敗したとしても、妊娠する確率は一律ではありません。
避妊に失敗しても排卵日付近かどうか、射精があったか、コンドームがどう外れたか、低用量ピルをどのくらい飲み忘れたかなどによって状況は異なります。
| 状況 | 妊娠リスク・確率の目安 |
|---|---|
| 避妊なしで性行為をした | 1回でも妊娠可能性あり。平均目安は約5~8% |
| 排卵日付近に避妊に失敗した | 妊娠リスクが高くなりやすく、排卵期付近では20〜30%程度とされることもある |
一般的には上記にある通り、避妊なしで性行為をした場合の1回あたりの確率は約8%、排卵日付近に避妊に失敗した場合は約20~30%とされています。
ただし、これはあくまで参考の数字であり、必ずしもこの確率で説明できる訳ではありません。
また、上記の割合は精液量や射精量を細かく測って出した確率ではなく”腟内射精を含む、妊娠が起こり得る性行為”を行った結果として妊娠が起こった全体の割合を算出したものになります。
そのため、状況によっては上記の割合より妊娠の可能性は高くもなりますし、低くもなります。
また、一般的に妊娠の可能性の高さは精液量・射精量よりも、排卵日とのタイミングの関係に大きく左右されると言われています。ただし、ここもアプリなどで算出される排卵日が必ずしも医学的に正しいとは限らないため、注意が必要です。
避妊なしで性行為した場合
避妊をせずに性行為をした場合は妊娠の可能性があり、「少しだけだった」「途中からコンドームをつけた」という場合でも、妊娠リスクはゼロとは言い切れません。
妊娠を望んでいない場合は、性行為からの経過時間を確認し、早めに緊急避妊について相談しましょう。
排卵日付近・危険日に避妊なしで性行為した場合
妊娠しやすい時期は一般的に排卵日そのものだけではありません。精子は一定期間体内で生存するため、排卵前の数日間に性行為があった場合も妊娠につながる可能性があります。
Wilcoxらの研究では、妊娠につながる性行為は排卵日を含む6日間に集中するとされています。
ただし、排卵日はアプリだけで正確に判断できるものではありません。ストレス、体調、睡眠、体重変化、服薬などで排卵がずれることもあります。
そのため、医学的に根拠のない情報や、医師の診察や妊娠検査をせずに緊急避妊等を不要と判断するのは難しいと考えたほうが良いでしょう。
性行為中にコンドームが破れた・外れた場合
コンドームを使っていても、破れた、外れた、射精後にずれた、精液が漏れたなどの可能性がある場合は、避妊効果が十分でなかった可能性があります。
ただし、妊娠の確率は下記のように状況によって異なるため、一概に判断はできません。
- コンドームが破れた・外れたタイミングはいつか(射精前・射精後など)
- その結果として、精液が膣内に入った可能性はどれくらいあるか
- 性行為がおこなわれた日は排卵日付近か
- 性行為後、避妊に失敗した可能性にどれくらい早く気付いたか(対処をしたか)
状況によってはコンドームなしの性行為と妊娠確率が変わらない可能性もあるため、早めに相談することをおすすめします。
外出し・我慢汁(カウパー腺液)が膣内に入った場合
外出し(コンドーム無しの性行為をおこない、膣外に射精)は、避妊として不確実とされており、CDC(アメリカ疾病管理予防センター)によると、避妊の方法として外出し(膣外射精)をおこなったケースのうち、年間で約20%が結果的に妊娠したとしています。
つまり、外出しは避妊の方法としては不完全と言えるもので、理由としては外に出す(抜く)前に精液が膣内に入ってしまった、我慢汁(カウパー腺液)の中に精子が含まれており膣内に入ったというのが主なものになります。
我慢汁(カウパー腺液)は、主にカウパー腺などから出る射精前液で、精液とは成分なども異なるためそのものに妊娠のリスクがあるとはえいません。
ただし、射精前液に精子が含まれることがある、または尿道内に残っていた精子が混じる可能性があるため、避妊なしで挿入している場合は妊娠可能性をゼロと断定することはできません。
避妊に失敗したかも…と思ったらまずすべきこと
性行為から何時間経っているか確認する
最初に確認したいのは、避妊に失敗した可能性がある性行為からどのくらい時間が経っているかです。
性行為から72時間(または120時間)経過する前であれば、アフターピルによる緊急避妊の可能性が高くなります。
120時間をすでに過ぎている場合は、医師の診断のもと妊娠検査薬の実施などを検討していくことになります。
性行為が行われた状況などについて整理する
- コンドームの有無
- コンドームの状態(破れていなかったか、外れていなかったか)
- 射精の有無
- ピル、またはその他の薬の服用状況
- 性行為の同意の有無
- 体調などの状態
上記のように性行為が行われた状況を整理することも、今後の対処法を考える上で重要です。
特に、同意のない性行為や避妊に協力してもらえなかった状況は、早めにしかるべきところへ相談することが大切です。
法務省は2023年の性犯罪関係の法改正で不同意わいせつ罪・不同意性交等罪などについて説明しており、性的行為における自由な意思決定が困難な状態が重要な観点として整理されています。
性行為から時間が経っていない場合はアフターピルの服用を検討する
避妊なしの性行為や避妊失敗のあとに、妊娠成立の可能性を下げるための対応としてアフターピルが代表的です。
アフターピルとは、避妊なしの性行為や避妊失敗のあとに、妊娠成立の可能性を下げるために使われる緊急避妊薬です。
主に排卵を遅らせたり抑えたりすることで妊娠成立の可能性を下げる目的で使われます。
アフターピルはすでに成立した妊娠を中断する薬ではありません。いわゆる中絶薬とも異なります。
厚生労働省も経口中絶薬「メフィーゴパック」については母体保護法指定医師のみが使用すること、厳格な管理が求められることを案内しており、緊急避妊薬とは扱いが異なります。
アフターピルの服用タイミングと避妊効果の関係
アフターピルには72時間以内用と120時間以内用があり、それぞれ効果が保証される時間が異なります。ただし、いずれにしても性行為からできるだけ早く服用することが推奨されています。
| 性行為後の経過時間 | ノルレボ錠/レボノルゲストレル【72時間以内】![]() |
120時間以内アフターピル(エラなど)![]() |
|---|---|---|
| 性行為後〜24時間 | 99.0% | 99% |
| 24時間〜48時間 | 98.0% | 99% |
| 48時間〜72時間 | 97.0% | 99% |
| 72時間〜96時間 | 75.0% | 98.9% |
| 96時間〜120時間 | – | 98.9% |
| 120時間以降 | – | 75.0% |
2026年2月からは一部の薬局・ドラッグストアで処方箋なしで購入できるようになっていますが、これらで取扱いがあるアフターピルは、いずれも72時間用となっています。
| 薬の種類 | 値段の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
ノルレボ![]() |
税込7,480円 | 2026年2月から薬局販売が始まったOTC緊急避妊薬 |
レソエル72![]() |
税込6,930円 | ノルレボと同じ有効成分を含む緊急避妊薬 |
安全性や安心感が最も高いのは婦人科などで対面の診察をおこなった後に適切な薬剤を処方してもらうことだと思いますが、診察時間や通う時間などを踏まえると、アフターピルの効果期限に間に合わなくなる可能性も十分あります。
こうした状況を踏まえると、現在はオンライン診療を利用するのも一つの手です。
緊急避妊ができる時間を過ぎてしまった場合のポイント
緊急避妊ができる性行為から120時間以内を過ぎてしまった場合、まずは医師や医療機関への相談をおこなうことが急務となります。
ただし、その際にも知っておくべきポイントがいくつかあります。
ポイント1】すぐに妊娠検査薬を使っても正しく判断できない
避妊失敗直後に妊娠検査薬を使っても、正しい確認はできません。
目安としては避妊に失敗した性行為から3週間後、または生理予定日から1週間以上過ぎても生理が来ない場合に使います。
ポイント2】生理が来なくても陰性の場合がある
妊娠検査薬が陰性でも生理が来ない状態が続く場合は、検査の時期が早すぎた、ホルモンバランスの変化、体調不良など複数の可能性があります。
特にアフターピルを服用した場合はホルモンバランスの変化が起こりやすくなります。
不安が続く場合は、数日あけて再検査するか、産婦人科に相談することをおすすめします。
妊娠が発覚した場合に考えるべきポイント
妊娠を継続する場合
妊娠を継続する場合は、産婦人科で妊婦健診や今後の生活について相談します。
経済面、住まい、家族関係、学校や仕事の不安がある場合は、自治体や相談窓口につながって継続的な相談をおこなうことも大切です。
妊娠を継続するか迷っている・決められない場合
産むか産まないかをすぐに一人で決めきれない場合もあります。
その場合は産婦人科、予期せぬ妊娠の相談窓口、自治体の相談窓口などに相談し、妊娠週数、体調にあった正しい対応や、生活状況に合わせたサポート・支援制度などを確認しましょう。
こども家庭庁の資料でも予期せぬ妊娠等により悩みや葛藤を抱える妊産婦には、家庭環境、パートナーからの暴力、貧困、孤立など複数の要因が絡むことが多く、支援機関による支援が必要になり得るとされています。
人工妊娠中絶を考える場合
妊娠を継続しない選択肢として、人工妊娠中絶があります。
人工妊娠中絶は、産婦人科でおこなう医療行為です。
日本では母体保護法に基づいて行われますが、法律では人工妊娠中絶を「胎児が母体外において生命を保続することのできない時期」に人工的に胎児および附属物を母体外に排出することと定義しており、早めの対応が必要になります。
そのため、中絶が選択肢としてある場合は、できるだけ早く医師に相談することをおすすめします。
同意のない性行為・避妊拒否・性被害があった場合に考えるべきポイント
同意のない性行為や避妊拒否・性被害があった場合は単に避妊をするかしないかというだけではなく、心身のケアや法的な対応も必要になります。
性犯罪や性暴力に関する相談は様々な窓口があり、代表的には警察庁が提供する相談窓口(#8103)などがあります。
また、性被害にあった場合、今後の告訴の可能性なども考慮して、証拠を保存できる状態にしておくことも推奨されます。
被害届や告訴について、今はどうするかわからないけれど、 今後「告訴したい」と思った時のために、証拠を保存しておくことをお勧めします。 残しておいた証拠を使わない、という選択は後からでもできます。
- 警察や病院へ行く前にシャワーやお風呂などのからだの洗浄はなるべくしないでください。
- 被害にあった時に着ていた衣服や下着は洗わずにそれぞれ個別のビニール袋に入れて口を絞めておいてください。
- 被害の時にからだについたものをタオルやティッシュなどでぬぐい取った場合は、ぬぐい取ったものを捨てずに、それぞれ個別のビニール袋に入れて口を絞めておいてください。
埼玉県 HPより
ただし、状況や被害者本人の精神状態などはそれぞれ異なるため、どのような対処法が望ましいかは一概には言えません。まずは相談をすることがおすすめです。
未成年である場合や親バレが怖い・相手に言えないといった場合に考えるべきポイント
未成年の場合や親・家族に言えない場合でも、妊娠不安や避妊失敗、性被害について相談できる先はあります。
避妊に失敗した直後は「親に知られたらどうしよう」「保険証を使ったらバレるのでは」「未成年だとアフターピルを処方してもらえないのでは」と不安になりやすいです。
また、妊娠検査薬で陽性が出た場合や中絶を考える場合、性被害があった場合は、さらに誰に相談すればよいか分からなくなることがあります。
ただし、親に言えないからといって何もできないわけではありません。
医療機関、薬局、オンライン診療、自治体の相談窓口、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターなど、状況に応じて相談できる場所があります。
アフターピルの処方に関しても、未成年だと相談ができない、診断を受けられない、親権者の同意が必要といったことはありません。※状況や医療機関によって異なる可能性あり
いずれにせよ、状況的にまず優先すべきは自分自身の心と体の安全を確保することです。必ずしも親の理解が得られる訳ではありませんが、サポートしてくれる大人や団体の協力を仰ぐことが何よりも重要です。
避妊や妊娠に関するよくある質問
1回だけでも妊娠しますか?
避妊なしの1回の性行為で妊娠する確率は平均的には約8%と説明されることがありますが、排卵期付近では高くなります。
外出しなら妊娠確率は低いですか?
射精のタイミングがずれたり、精液が腟口付近についたり、避妊なしの挿入があったりすると、妊娠可能性は残ります。
不安がある場合は自己判断せず相談しましょう。
排卵日じゃなければ避妊しなくても大丈夫ですか?
排卵がずれることもあるため、「排卵日ではなさそう」という理由だけで緊急避妊が不要とは判断しない方が安全です。
コンドームが破れたけど射精していなければ大丈夫ですか?
破れたタイミングや精液・我慢汁の接触状況によって変わるため、不安がある場合は相談しましょう。



