トラネキサム酸(トランサミン)は人工的に作られたアミノ酸の一種です。
身体の中には「プラスミン」という酵素があり、ウイルスが身体に入ったときに炎症を起こしたり、止血を防ぐする作用の他、シミや肝斑の原因となるメラニンを生成する細胞の働きを促進させる働きがあります。
トラネキサム酸にはプラスミンの働きを防ぐ「抗プラスミン作用」があるため正しく内服することでシミ・肝斑の改善などの効果が期待できます。
トラネキサム酸を飲むと血栓ができやすくなる、と言われている理由は「血栓の安定化」があります。
「血栓の安定化」とは言い換えると「何らかの理由で血栓ができてしまった場合に、本来自然と溶けていくはずの血栓が安定化してしまい、血栓が血管内に残ること」を指します。
そのため下記に該当するような血栓ができやすい方はトラネキサム酸の内服がおすすめできないと言われています。
- 血栓ができやすい人
- 血栓ができた経験がある人
- 人工透析を受けている人
- 心筋梗塞や脳梗塞の既往歴がある人
- 妊娠中や授乳中の人
- 腎不全の方
トラネキサム酸と低用量ピルは併用可能ですが注意が必要です。
低用量ピルとトラネキサム酸の併用による明確な影響の報告はありませんが、トラネキサム酸の内服はシミや肝斑を薄くするという美容目的ということもあるため、併用する場合は定期的な受診や体調チェック・血液検査などを行うことをおすすめします。
トラネキサム酸はシミや肝斑の改善が期待できるものの「念のため」に低用量ピルとの併用をNGとするクリニックもあります。ただピルとの併用で血栓の副作用が起きる確率は非常に低く、また非喫煙者ではさらに低くなるため処方可と案内しているクリニックも多くあります。
結論、トラネキサム酸は基本的には長期服用しても問題ありません。
肝斑の治療に使用されるような低用量のトラネキサム酸での血栓の有害事象は報告されていませんが、過多月経などの治療に対する高用量トラネキサム酸の内服(多くは1回1,000mg・1日3回・5日間)に関する海外の研究では、静脈血栓の確率が内服してない人で年間1万あたり2.5人だった確率が11.8人と増加したという報告があります。
一方で、他の研究結果では50年間継続して内服しても副作用が出なかったという報告もありますが、体質や内服しているお薬の種類によっては飲み合わせに注意が必要であったり、服用期間や量などに制限が必要な場合があるため、服用については必ず医師・薬剤師に確認するようにしましょう。
トラネキサム酸は副作用の少ない薬剤ですが、人によっては体質に合わず胸やけや吐き気・下痢・食欲低下・発疹などの症状が出る場合があり、そのような症状が出た場合はただちに内服は中止してください。
トラネキサム酸の主な副作用
- 発疹・皮膚のかゆみ
- 頭痛
- 食欲不振・吐き気・胃の痛み
- 下痢
- 胸やけ
- 眠気
- むくみ・血栓症
トラネキサム酸と止血剤の「トロンビン」は併用できません。
トロンビンは一般的に血を止めやすくする「止血剤」として処方されており、トラネキサム酸にも止血剤としての役割があるため併用すると血栓ができてしまう恐れがあります。
医薬品のトラネキサム酸(トランサミン)美容皮膚科などで医師の判断により処方してもらうことができます。
一般の内科や皮膚科ではトラネキサム酸の取り扱いがない可能性もあるので、事前に確認してから受診しましょう。
マーチクリニックでは美容内服セットやニキビ内服セットを処方しています。
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監修医師:尾崎 功治 先生
2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、都内大学病院総合診療科・国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。