これまでピルと言えば、超低用量・低用量・中用量ピル、そしてアフターピルの4つに大きく分けられてきました。
そんな中で最近ではミニピルというピルを耳にすることが増えてきた人は多いのではないでしょうか?
今回は最近話題の「ミニピル」について詳しく解説していきます。
目次
ミニピルとは黄体ホルモン(プロゲストーゲン)のみ配合され、女性ホルモン(エストロゲン)を含有していないピルのことです。プロゲストーゲンしか配合されていないため、POP(Progestogen-Only Pillの略)とも呼ばれています。
ミニピルの良い点(メリット)
血栓症のリスクがとても少ない
低用量ピルの副作用としてあげられる「血栓症」などは主にエストロゲンと大きく関係しています。
一方、ミニピルにはエストロゲンが含有されていないため、血栓症のリスクがほとんどないと言われています。
血栓症リスクのある人でも内服できる
これまで低用量ピルを内服することのできなかった喫煙者や35歳以上の方、肥満症の方でも医師の指導のもとで、安全に服用することが可能なピルです。
また価格においては、ミニピルは他のピルと比較して安価なことが多いことも一つの特徴です。
ミニピルの悪い点(デメリット)
毎日同じ時間に服用する必要がある
ミニピルには肌荒れ、ニキビを抑える作用が弱いこと、連日確実に同じ時間に内服する必要があること、飲み始めに不正出血が続くことがあるなどが挙げられます。
またミニピルですが現在日本では未認可でほとんど普及していないため処方している病院、クリニックはかなり限られています。また保険は適用されませんので自費負担となります。
ミニピルに含有されている黄体ホルモンには、下記の4種類があります。
- ノルエチステロン(第1世代)・・(商品名) ノリディ、マイクロノア、ノアルテン
- レボノルゲストレル(第2世代)・・(商品名)マイクロバル、ノルゲストン
- デソゲストレル(第3世代)・・(商品名)セラゼッタ
- ジエノゲスト(第4世代)・・(商品名)ディナゲスト
この中で「ディナゲスト」と「ノアルテン」は国内で承認されているミニピルとなりますが、他の薬剤として黄体ホルモン量が多いことからミニピルには含まないという書かれている場合もあります。
また同じ理由で「ディナゲスト」と「ノアルテン」はホルモン量が多いことから避妊目的に使うことは勧めらておらず、ディナゲストは子宮内膜症や子宮腺筋症に伴う痛みの改善、ノアルテンは生殖補助医療に使用されることが一般的です。

この4種類の黄体ホルモンの違いは、アンドロゲン作用の強さです。
アンドロゲン作用が強いとニキビや多毛、体重増加、食欲増進などの副作用がでやすく、一般的に世代が進むにつれて、この副作用が弱くなる傾向にあると言われています。
世代 | 低用量ピル(OC/LEP) | ミニピル(POP) |
---|---|---|
含まれるホルモン | 卵胞ホルモン(エストロゲン) 黄体ホルモン(プロゲスチン) | 黄体ホルモン(プロゲスチン) |
排卵の有無 | なし | あり |
避妊率 | 正しく服用した場合、99%以上 | 正しい服用方法で低用量ピルと同等の避妊効果が期待できる |
血栓症リスク | 低い | ほぼない |
休薬期間 | あり(偽薬を含む) | なし |
毎日決まった時間に正しく服用していれば、高い避妊効果が期待でき、その避妊率は99%以上とされています。
飲み忘れや薬の併用などを含めると、避妊成功率は93%まで下がると言われています。
ミニピルは他の低用量ピルと同様に基本的に食前や食後関係なく、1日1回1錠を毎日服用します。
生理の始まった1日目から服用を開始して、避妊を続けたい期間まで飲み続けましょう。
ミニピルを服用してから効果が出るまでの期間は、飲んだタイミングによって異なります。
生理の初日からミニピルを服用した場合は、排卵のタイミングとずれていることで、飲んだその日より避妊効果が得られる一方、生理周期途中から服用を始めたとしても、飲み始めてから1週間程度で避妊効果が得られるとされています。
3時間以上ずれてしまった場合は、服用を続けながら1週間以上はコンドームを利用しての避妊が必要になります。

もし飲み忘れてしまった場合は、すぐに飲み忘れた分の2錠を飲み、その後は予定通り服用しましょう。
できるだけ服用時間のずれが3時間以内になることが望ましいので、いつもの服用時間から12時間以上ずれてしまうと避妊効果は無くなってしまいます。
ミニピルは医療用医薬品に分類されているため、日本のドラッグストアや薬局では購入できません。
そのため専門のクリニックで医師の診察を受けた上で処方箋をもらう必要があります。
しかし、年齢制限があったり、保護者の同席・同意がないと処方してくれなかったりするクリニックもあるため、事前にクリニックに連絡して確認をしておくと良いでしょう。