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【医師監修】低容量ピルの血栓症のリスクは?

ピルによる血栓症のリスクとは?

30代女性
30代女性

生理痛がつらくてピルを内服したいけど血栓症が心配…。

低用量ピルの副作用で一番気になるのが「血栓症のリスク」です。
血栓症のリスクからピルを内服するか悩んでいる人も多いと思います。
今回は低用量ピルの血栓症リスクや発生率・確率などについて詳しく見てみましょう。

血栓症とは?

血栓症とは血管内に血の塊が詰まり血管を塞いでしまうことで血の流れを止めてしまう病気です。
血栓症は大きく2つ分類でき、血流の早い動脈に血栓ができる「動脈血栓症」と血流が緩やかな静脈にできる「静脈血栓症」があります。
肺血栓症や心筋梗塞、脳梗塞などのや動脈血栓症であり、反対に手術・出産・外傷・ガン・長期間の同じ姿勢などが原因でなる深部静脈血栓症は静脈血栓症に分類されます。

血栓症が起きるメカニズムは?

低用量ピルには「卵胞ホルモン」と「黄体ホルモン」の2種類が配合されています。
このうち「卵胞ホルモン」に血液を固めやすくする作用があります。

通常の場合は卵胞ホルモンの作用によって血液が固まりやすくなったとしても体内のホルモンバランスにより血液が固まることはありませんが、低用量ピルの内服により卵胞ホルモンが体外から取り込まれるため血栓症リスクを高めてしまう可能性があると言われています。

血栓症の発生する確率は?

まず前提として低用量ピルの服用で血栓症リスクは高まることは既に医学的にも証明されています。

ただし低用量ピルを服用していない場合でも年間1~5人/1万人が血栓症を発症すると言われている中で、低用量ピルを内服している場合は3~9人/1万人の確率に上昇すると言われています。

その中でも命に関わる重篤な症状を引き起こすは約10%程度と言われており、残り9割以上は下半身の深い位置にある静脈に血栓が詰まる深部静脈血栓症で、むくみや足の痛み・しびれなどが出現します。

以上より、低用量ピルの服用によって重篤な血栓症を発症する確率は限りなく低いものの血栓症のリスクが上がることには変わりはないため、血栓症の主な症状や万が一発症した際は早期に治療を受けることが大切です。

血栓症の主な症状・兆候は?

  • 足のむくみ・しびれ・痛み
  • ふくらはぎの重み・だるさ
  • 刺すような胸痛
  • 激しい腹痛
  • 頭痛
  • めまい
  • 目の見えにくさ

もし低用量ピル内服開始後、これらの上記の症状が現れた場合は直ちに低用量ピルの内服を中止し、処方してもらった医師・かかりつけの医師に相談をして下さい。

血栓症が起きやすいタイミングは?

血栓ができるまでにも時間を要することから、低用量ピル開始後、血栓症を起こしやすい期間は「内服開始後3~6ヵ月」と言われています。
また一度服用を中止し、その後再度再開しても同様に再開後「3~6ヵ月」は血栓症のリスクが高くなると言われていえることからピルの内服を中断したり再開したりすることは血栓症のリスクを高めることから避けるようにしましょう。

血栓症になりやすい人は?

  • 35歳以上の方
  • タバコを1日に15本以上吸う方
  • 肥満体質の方(BMI30以上)
  • 高血圧がある方
  • 前兆を伴う偏頭痛の診断をされている方
  • 肝機能障害になったことがある方
  • 心臓や腎臓に持病のある方
おざこう先生

監修医師:尾崎 功治 先生

2014年北京大学医学部卒業後、中国医師免許取得。17年日本へ帰国後、日本医師免許を取得し、都内大学病院総合診療科・国際診療部に従事後、現マーチクリニック院長。