医薬品は正しく内服していても副作用が起きる場合があります。
万が一、入院が必要になるほどの健康被害が起きてしまったときに医療費や年金などの給付を行う公的な制度があり、これを「医薬品副作用被害救済制度」といいます。
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医薬品副作用被害救済制度の対象となるお薬は病院やクリニックで処方される処方薬だけと思われがちですが、ドラッグストアやオンラインショップなどで購入した市販薬も含まれます。
ただすべてのお薬が対象になる訳ではなく、厚生労働大臣の許可を受けた医薬品及び再生医療などの製品のみに限定されるため日本で認可外となっている医薬品や個人輸入業者が取り扱っている海外製の医薬品などは制度の対象外となります。
医薬品を使用し、重篤な副作用が発生した場合でも、副作用救済給付の対象外となり、制度を利用できない場合があります。副作用救済給付の対象にならない場合は次のとおりです。
- 法定予防接種を受けたことによるものである場合(任意による予防接種を受けたことによる健康被害は対象)
- 医薬品等の製造販売業者などに損害賠償の責任が明らかな場合
- 救命のためやむを得ず通常の使用量を超えて医薬品等を使用したことによる健康被害で、 その発生が予め認識されていた等の場合
- がんその他の特殊疾病に使用される医薬品等で厚生労働大臣の指定するもの (対象除外医薬品)等による場合
- 医薬品等の副作用のうち軽度な健康被害や医薬品等の不適正な使用によるもの等である場合
- 副作用や障害の程度が軽い場合や請求期限が経過した場合
- その他、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会で給付の対象にならないと判定された場合
例えば「まつげ美容液」としても処方される代表的な医薬品として「ルミガン」「ビマトプロスト」「グラッシュビスタ」の3種類がありますが、いずれも主成分はビマトプロストで同じですが、「ルミガンガン・ビマトプロスト」は国内ではまつげ貧毛症の治療薬としては承認されていないため、まつげの育毛として使っている最中に重たい副作用が出てしまっても、医薬品副作用被害救済制度の対象外になります。
一方でグラッシュビスタはまつげ貧毛症として承認されているものの値段が2~3万円前後とやや高いデメリットがあります。
リベルサスやオゼンピック、マンジャロなどのお薬も正しくは「糖尿病」に対する治療薬であり、ダイエットや肥満治療目的での処方は国内で承認されていないため万が一副作用が出た場合は医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
男性型脱毛症の治療薬とて使われるフィナステリドも日医工などの国内製であれば適応症として認められており、医薬品副作用被害救済制度の対象になりますが、個人輸入や海外製のフィナステリドについてはいずれも医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

日本国内で正規に流通している医薬品や化粧品は医薬品医療機器等法に基づいて品質・有効性・安全性がしっかり確認されている一方、個人輸入される外国製品にそのような保証がないことから、どうしても個人輸入が必要な場合は自分ひとりで判断せずに、地域の医師や薬剤師等の専門家に相談されることをおすすめします。
【参考】医薬品等を海外から購入しようとされる方へ(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/index.html