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イソトレチノインは、主に難治性のニキビ治療に用いられる内服薬です。
ビタミンAの誘導体が主成分で、皮脂腺の活動を抑えることで過剰な皮脂の分泌を減少させ、角質の剥離を促進することでニキビの発生を予防します。
海外では「アキュテイン」や「ロアキュタン」などの製品名で知られおり、通常のニキビ治療では効果のなかった難治性のニキビに対して処方され、ニキビ治療に高い効果が期待できる一方、副作用や処方できないケースもあることから内服する場合には医師による診察が必要となっています。
イソトレチノイン自体は1970年代にアメリカで開発され、難治性のニキビ治療薬として承認されました。
ビタミンA誘導体と皮脂腺の働き・皮膚の健康に重要な関係性があることが分かってから難治性ニキビ治療薬「アキュテイン」として市場流通し、その効果の高さから他の治療方法では効果のなかった難治性ニキビの治療に対して新しい選択肢となりました。
一方で誰でも内服できる、ということではなく使用に伴う副作用あることから、現在は正しい内服方法や飲めない方への注意喚起が行われるようになり、医師による厳密な管理が必要な薬剤とされています。
アキュテイン(ACCUTANE) 一般名:イソトレチノイン(ISOTRETINOIN) 用量:10mg/20mg/40mg | |
ロアキュテイン(ROACCUTANE) 一般名:イソトレチノイン(ISOTRETINOIN) 用量:10mg/20mg/40mg | |
ソトレット(SOTRET) 一般名:イソトレチノイン(ISOTRETINOIN) 用量:20mg/40mg | |
アムネスティーム(AMNESTEEM) 一般名:イソトレチノイン(ISOTRETINOIN) 用量:10mg/20mg/40mg | |
クララビス(CLARAVIS) 一般名:イソトレチノイン(ISOTRETINOIN) 用量:10mg/20mg/40mg | |
イソトロイン(ISOTROIN) 一般名:イソトレチノイン(ISOTRETINOIN) 用量:20mg | |
アクノティン(ACNOTIN) 一般名:イソトレチノイン(ISOTRETINOIN) 用量:10mg/20mg | |
レティバ(TRETIVA) 一般名:イソトレチノイン(ISOTRETINOIN) 用量:10mg/20mg/40mg |
イソトレチノインは、一般的に難治性のニキビと言われる「重度の尋常性ざ瘡(にきび)」に対して非常に高い効果のある内服薬として知られています。
治療効果の主なメカニズムとしては、下記の2点があり適切に使用することで徐々に肌の状態が改善され、重度のニキビが緩和されます。
- 皮脂腺の機能を抑制による皮脂の分泌量の減少
- 抗炎症効果による赤みや腫れの軽減
またイソトレチノインの内服による治療完了後も促進された角質形成や過剰な皮脂分泌のコントロールにより継続的な肌状態の改善が見込まれれ、ニキビの再発リスクの低減も期待できます。
イソトレチノインは、ニキビ治療以外にも皮脂腺が原因となる膿疱性疾患や毛穴のつまりの改善にも効果が期待できます。
イソトレチノインには前述の皮脂腺の活動を抑えることで皮膚の油分を減少させ、炎症を軽減する作用が期待されるほかに、皮膚のターンオーバーを促進するため、角化異常が原因となる粉瘤の改善や膿疱性疾患・毛穴のつまりにも効果があります。
一方、内服するだけで症状がすぐ改善するというものではなく、継続的なフォローアップや個々の症状に合わせた内服量の調整が必要なケースも多くあることからその管理には医師の定期的なフォローアップが必要です。
イソトレチノインには10mg・20mg・40mgの用量がありますが、高用量の方が効果がある、ということではなく効果を最大化し副作用を最小にするためには適切な用量を選ぶ必要があります。
イソトレチノインは「積算量」が治療のポイントになります。
体重1kgあたり120mgでニキビの再発防止予防効果が期待できるといわれており、内服期間×1日の内服量と体重から計算することができます。
あまり聞きなれない「積算量」はどのように計算するか例を使いながら実際に見てみましょう。
体重60kg の人が1日30mgを内服する場合:
1日の内服量30mg÷60kg=0.5mg/kgが1日の「積算量」になります。
これが1kgあたり120mgを超えるためには、
120mg÷0.5mg=240で240日間内服を続ければ「積算量が120mg/kg」を超え、ニキビの再発が起こりにくくなると言われています。
治療期間が一般的であり、治療期間はおおよそ「4〜6ヶ月」とされており、逆算すると1日の内服量の目安が計算できます。
飲み方としては、食事後に適度な水・またはぬるま湯と一緒に内服し、副作用や安全性の観点から定期的な血液検査を行う場合もあります。また内服開始後に体調に変化が生じた場合はすぐに医師に相談しましょう。
体重・内服量から試しに内服量を計算してみましょう。
あくまでも簡易シミュレーションのため、実際の処方量や内服期間は医師に指示に従ってください。
イソトレチノインは効果的な難治性ニキビの治療法として広く用いられていますが、使用にあたっては副作用やリスクもあるお薬です。
そのため医師や薬剤師などの専門家による適切な指導のもとでのみ使用することができます。
イソトレチノインの軽症の副作用としては乾燥肌や唇のひび割れ、目の乾燥などがありますが、これら以外に肝機能障害や血中脂質の変化が報告されており定期的な血液検査が必要な場合もあります。
またイソトレチノインの重篤な副作用としては下記があります。
・妊娠又は妊娠している可能性がある場合
胎児に先天異常、流産、早産、死産を引き起こす可能性
・激しい頭痛
・目のかすみ、めまい
・吐き気、おう吐
・脳卒中
・下痢
・筋力低下
・重大な精神症状 (うつ、自殺など)
イソトレチノインを内服できない人
・妊娠している方
・妊娠予定のある方
・イソトレチノイン服用期間中に妊娠する可能性のある方
・母乳を与えている方
・献血予定のある方
この中でも特に妊娠中の女性がイソトレチノイン使用すると胎児に重大な影響を及ぼす可能性があるとして厚生労働省でも注意喚起を行っており、安易な内服をしないことや、治療を開始する前に妊娠の可能性を確認することはとても重要です。
イソトレチノインはニキビを治す万能薬、ではありません。
「イソトレチノインを飲むだけでニキビが治る」というの認識は誤りで、使えるのは「難治性のニキビで、かつ他の治療方法で効果がなかったニキビのみ」に限ります。
イソトレチノインは内服期間中に肌の乾燥や敏感さが増すことがあるため保湿剤を欠かさず使用することが推奨されます。
また、飲酒や妊娠の影響を避けるための注意も必要です。
特に治療開始直後は一時的にニキビが悪化することもありますが、内服し続けることによって落ち着くケースが多いため体調等変わりなければ継続して様子を見るようにしましょう。
ただ自己判断は禁物で、何らかの異変を感じたらすぐ診察を受け、副作用を極力抑えた正しい用法・用量で治療を行うことが効果を高めるポイントになります。
またニキビ治療においては、イソトレチノインの内服だけでなく、生活習慣の見直しも非常に重要です。
食事、睡眠、ストレス管理などで生活の質を向上させることが肌の健康に大きく影響するため、まずは栄養バランスの取れた食事を心がけることが大切です。
特にほうれん草やレバー・バター・卵黄などビタミンAを豊富に含む食品が肌の改善に役立つとされ、合わせて十分な睡眠を確保することによって、体調が整い、ホルモンバランスの安定から短期間で美肌へとつながります。
またストレスはニキビ悪化の大きな要因となるため、リラクゼーションや趣味の時間を設けて心身のリフレッシュを図り、生活習慣を見直すことでイソトレチノインの効果をより引き出すことが期待できます。
イソトレチノインは医薬品であり、医師の処方が必要な処方薬になります。
そのため数量に関係なく、医師の処方せん、または指示書に基づいて手続きを行わない限り個人輸入もすることはできません。
イソトレチノインを取り使っている美容皮膚科または皮膚科を受診するようにしましょう。
日本国内ではイソトレチノインは保険適用外のお薬のため、保険の使えない「自費診療」となります
- イソトレチノインは難治性ニキビの治療内服薬である
- イソトレチノインは必ず医師の指示に従って服用する必要があり、個人輸入はできない
- 服用期間中とその前後1ヶ月間に性行為をする場合は、必ず避妊をする
- 服用期間中とその後1ヶ月間は妊娠、授乳、献血はNG
万一、内服中に妊娠が判明した場合はすぐに服用を中止し医師に相談する - 妊娠女性に輸血すると胎児にイソトレチノインの影響が生じる恐れがある(奇形・流産・死産・早産)
- その他の重篤な副作用として鬱、精神病(幻覚、幻聴)、自傷行為、自殺企図がある