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【医師監修】低用量ピルで得られる避妊以外のメリットとは?

低用量ピルのメリット

避妊効果のイメージが強い低用量ピルですが、低用量ピルには避妊だけでなく女性の健康を守るための多くのメリットがあります。

今回は、低用量ピルによって得られる健康面でのメリットについて解説をします。

目次

①月経痛の改善や月経中の経血量の軽減
②PMS(月経前症候群)の軽減
③生理周期のコントロール
④肌荒れ改善
⑤子宮に関する病気の予防

月経痛の改善や月経中の経血量の軽減

生理痛は生理1日目〜3日目まで特に強くなる傾向にあり、下腹部や腰部の痛み以外にも頭痛や身体の冷えなど、全身が不調になることがしばしばあります。

この生理痛の正体は生理によって子宮内膜で発生するプロスタグランジンというホルモンの働きが原因です。
プロスタグランジンは生理前に厚くなった子宮内膜を外に出すためのホルモンであるのに加え、発熱や痛みを生み出す特徴もあります。

そのため子宮内膜が厚くなるほどプロスタグランジンの働きが強くなるために痛みが増えてしまうとされています。

低用量ピルが生理痛やPMSの緩和に有効とされるメカニズムはここにあり、低用量ピルに配合されるバランスの良い女性ホルモンが子宮内膜の厚さを調整することで生理中の痛みを軽減させることができます。

また、低用量ピルを内服すると月経量は約1/3程度に減ると言われているため、生理による貧血が改善されたり、子宮内膜症の進行の抑制にも効果を発揮します。

PMS(月経前症候群)の軽減

PMSとは、排卵後から生理前に優位になる黄体ホルモン(プロゲステロン)の働きによって起こる一連の症状で、下腹部痛やお腹の張り、むくみ、食欲増進、不安感やイライラ感の増強などの症状が見られます。

生理が来ると症状は軽快していきますが、それまでの数日間〜2週間程度は症状が出現するため女性にとっては毎月辛い期間となります。低用量ピルは排卵を抑制してホルモン変化をコントロールするため、PMS(月経前症候群)の症状軽減の効果が期待できます。

生理周期のコントロール

低用量ピルや中用量ピルには女性ホルモンが配合されており、内服のタイミングや期間によって生理を早めたり、遅らせるなどにコントロールができます。

大事な予定日や温泉などのイベントを安心して迎えることができ、生理が来てほしいタイミングにしっかりと生理を起こすことができるようになるため、生活の質を上げることができます。

肌荒れ改善

ニキビなどの肌荒れの症状は女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが大きく影響しており、これらのホルモンバランスは生理前にバランスが崩れやすいとされています。

黄体ホルモン自体には食欲増進や体重増加・多毛・ニキビなどのアンドロゲン作用があり、ピルによりこれらのアンドロゲン作用を抑える事が可能になったため、ニキビなどの肌荒れ症状の改善にも効果が期待できます。

子宮に関する病気の予防

子宮内膜症

低用量ピルはエストロゲンとプロゲステロンがバランスよく配合されており、排卵を抑制したり子宮内膜の厚さを調整する作用があるため、子宮内膜症の進行を予防する効果があると言われています。
また、鎮痛剤を服用しても子宮内膜症による痛みが緩和しない場合に低用量ピルを用いて治療をすることもあります。

卵巣がん・子宮体がん

卵巣がんは、排卵による卵巣への負担によって発症すると考えられています。低用量ピルを服用すると排卵を抑制するため、卵巣がんを予防する効果があると言われています。
また、低用量ピルを服用することで子宮内膜を薄く保つため、長期的に服用すると子宮体がんの予防にも繋がると言われています。
さらに低用量ピルのエストロゲン作用は腫瘍形成を妨げる防御効果があり大腸がんのリスクを減少させる効果も期待できると言われています。

一方で、乳がんや子宮頸がんは低用量ピルの長期服用でわずかに罹患リスクが上昇することが知られており、早期に発見できるよう定期的に検診を受けることは大切です。

まとめ


今回は低用量ピルのメリット・デメリットを中心にご紹介しました。
リスクを理解したうえでピルの服用を検討し、低用量ピルに関心を持たれた方はぜひこの機会にオンライン診療を活用してみてはいかがでしょうか?