いつもの薬局でいつも飲むお薬を受け取ろうとしたら、
「今そちらの薬、不足していて…」と言われたことはありませんか?
最近、全国で大規模な医薬品の供給不足が続いています。
どんなお薬がどんな理由で出荷制限されていて、またいつまで続くのかをまとめてみました。
目次
出荷調整は別名「限定出荷」とも呼ばれており、製薬会社がお薬の出荷先や出荷する量を調整することを言います。
出荷調整の主な原因としては、
・他の制約会社の出荷調整や販売中止の影響
・想定を上回る注文による製薬会社の製造ラインが対応できない
・原材料不足
などがあり、医療業界では2021年(令和3年)ごろから様々なお薬で出荷調整が起きるようになりました。
特に大きなダメージとなったのが、一部の制約会社の品質や不適切な製造によりお薬を市場に流通させることができなくなり、その代替品となるお薬品の需要が高まったことにより品薄になってしまった背景があります。
2023年8月の段階で日本製薬団体連合会と厚生労働省行った調査では、9,077品目のジェネリック医薬品のうち「限定出荷」と「供給停止」となっている品目は2,928と報告されており、割合でいうと32%の薬剤が出荷調整の影響を受けています。
特に皮膚科などで使われているトラネキサム酸をはじめ、グルタチオン、タチオン、ハイチオールやビタミン剤のシナール、ビタダン配合錠、ビタノイリンカプセル、ビフロキシン配合錠も2023年末時点でいずれも出荷調整となっています。
円安の影響により海外からの原材料が不足したり、他のお薬の需要が高まった影響により製造ラインが影響を受けているとも言われています。
お薬を探す時間がかかる
毎日ずっとお薬を飲んでいる場合、そのお薬を切らすことができません。
普段通院している薬局に在庫がない場合は在庫のある薬局やクリニックを探さなくてはなりません。
ジェネリックが買えず値段の高い先発品になる可能性がある
値段の安い「ジェネリック医薬品」が手に入らない場合は代わりに先発医薬品で調剤となる場合があり、その場合患者さん自身の自己負担金額が増えることがあります。
2023年3月に行われた「第7回・医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」では現在続いている医薬品の出荷調整の改善時期の目処については明言されておらず、解消時期についても現時点未定となっています。
製薬会社や医薬品の出荷調整にかかわるサイトに随時出荷情報が更新されていることが多く、自身で内服しているお薬がある場合は一度チェックしてみましょう。
製薬メーカーの公式ホームページの「お知らせ」で告知されているものが一番の最新情報になりますが医療従事者でしかアクセスできないサイトも少なくありません。
一般公開されている情報としては一般社団法人asTasの運営する「DSJP|医療用医薬品供給状況データベース」があります。
薬剤の名前を入力すると現在の供給状況をチェックすることができます。