医療ダイエットとは、医療技術を用いたダイエットのことをいいます。
ダイエットが長続きしなかったり、一度は痩せるもののすぐリバウンドしてしまう方、また部分痩せが難しかったりする方におすすめできる方法です。
今回は医療ダイエット(メディカルダイエット)の種類や治療方法、そして各治療方法のメリット・デメリットを紹介します。
目次
医療ダイエット(メディカルダイエット)にも多くの種類がありますが、大きく分けると美容クリニックに通院して施術を受ける方法と自宅で内服や注射を行う方法の2つに分けられます。
①美容施術 | 脂肪吸引・脂肪融解注射・冷却による脂肪減少治療・ボトックス注射など |
②漢方薬 | 防風通聖散・大柴胡湯・防己黄耆湯 |
③内服薬 | リベルサス |
④注射薬 | サクセンダ・オゼンピック・マンジャロ |
①美容施術についてはイメージしやすく、対象となる部位の脂肪を直接的に吸引したり融解させることで脂肪を減らすことでダイエットにつながります。
また②漢方薬には主成分に「麻黄(マオウ)」や「防風(ボウフウ)」が含まれており、交感神経を刺激して脂肪細胞を活性化させることで脂質の代謝を促進し、内臓脂肪を減少させます。
一方で「③内服薬」「④注射薬」はGLP-1というホルモンが大きく関わってくる治療方法となります。
「GLP-1」というキーワードもあまり聞かれない名前であることから、ダイエットのメカニズムを知るためにGLP-1と体重減少(ダイエット)の関わりについてまずは見てみましょう。
GLP-1は別名「グルカゴン様ペプチド-1」といい、腸から分泌されるホルモンを指します。
主な作用は血糖値を下げるホルモン「インスリン」の分泌を促すことで、GLP-1の分泌量が増えると胃腸の動きが緩やかになり満腹感を持続させるほか、脳内に作用して食欲を抑制させる効果があります。
反対にGLP-1の分泌量が少ないと、食欲が抑えられず食べ過ぎてしまう傾向にあり、結果的に太りやすくなります。
そのためGLP-1を外部から体内に取り込むことで体質・食欲をコントロールすることで体重の減量を目指すことが医療ダイエット(メディカルダイエット)の特徴です。
GLP-1の内服薬は「リベルサス」が有名ですが、注射はサクセンダ・オゼンピック・ビクトーザ・マンジャロなど様々な種類があり、「結局、どれを選べば良いの?」と迷わる方も多いと思います。
続いて各ダイエット内服薬および注射薬の特徴や違いをまとめました。
大前提としていずれもお薬も糖尿病治療薬であり、本来はダイエット目的のお薬ではありません。
医師の指導のもと正しい用量・目的・使用方法でリスクを理解した上で適切に使用する必要があります。
種類 | 薬剤名 | 主成分 | 用法 | 特徴 |
内服 | リベルサス | セマグルチド | 1日1回(起床時) | 2023年現在、GLP-1薬の中で内服薬はリベルサスのみで注射薬に抵抗ある方に向いている |
注射 | マンジャロ | チルゼパチド | 1週間1回 | 週1回の注射であるため手間が少ない GLP-1以外にGIPに対しても効果あり 針の交換不要 |
注射 | オゼンピック | セマグルチド | 1週間1回 | 週1回の注射であるため手間が少ない 針の交換が必要 |
注射 | サクセンダ | リラグルチド | 1日1回 | 投与量の細かな設定が可能(0.6mg単位) 毎日注射が必要 |
注射 | ビクトーザ | リラグルチド | 1日1回 | 投与量の細かな設定が可能(0.3mg単位) 毎日注射が必要 |
※マンジャロには「GLP-1」以外に「GIP」という受容体にも作用するため、よりダイエット効果が期待できます。GLP-1とGIPの作用メカニズムの違いは下記の通りです。
主な作用部位 | 作用 | GLP-1 | GIP |
---|---|---|---|
脳 | 食欲 | ↓ | ↓ |
満腹感 | ↑ | ー | |
全身 | インスリン感受性 | ー | ↑ |
膵臓 | インスリン分泌 | ↑ | ↑ |
グルカゴン分泌 | ↓ | ↑ | |
胃 | 消化速度 | ↓ | ー |
・過度な食事制限がなくダイエット期間のストレスが少ない
・食事量がコントロールしやすい
・内服や注射の方法がシンプルで簡単
いずれのダイエット方法も医療ダイエットなら必ず痩せるというのは誤りです。
短期間で無理やり痩せることを目指すさず、食事コントロールや適度な運動などを組み合わせることでより効果を実感しやすく、健康的に減量を行っていくことが大切です。
GLP-1薬は体重減少効果が期待できる一方で、副作用がでる場合があります。
治療開始後に出現しやすい代表的な副作用と対処方法を紹介します。
胃腸障害(便秘、下痢、お腹のハリ、胃のムカつきなど)
使用開始後、早い段階で現れやすい副作用ですが、胃腸症状の多くは数日~数週間継続すると落ち着くことがほとんどです。
維持用量へ変更してもこれらの症状が長く続く場合や、症状が悪化する場合は処方医師にご相談ください。
膵炎(激しい腹痛、激しい背中の痛み、吐き気、嘔吐など)
これらの症状が出る確率は低いものの、万一上記症状が出現した場合はすぐに使用を中止して医師の診察を受けてください。
低血糖症状(空腹感、冷や汗、ふるえ、動悸、だるさなど)
GLP-1薬は血糖値を下げるお薬であることから上記のような低血糖症状が出現する可能性があります。
GLP-1薬は他の糖尿病薬と比較して低血糖症状は起きにくい薬ですが、万一上記症状が出現した場合はブドウ糖を多く含むジュースやお菓子・飴などの飲食物をとり安静に過ごし、症状が急激に悪化する場合や繰り返しこれらの症状起こる場合はすぐに病院を受診してください。
マーチクリニックではリベルサス・マンジャロの処方しています。
オンライン診療にも対応しています。
- GLP-1のダイエットと通常のダイエットの違いは?
- 最近のダイエットは食事制限や、過度な運動を短期間で集中的に行うものが多く、長続きしなかったりリバウンドしやすいというデメリットがありました。
GLP-1ダイエットは「メディカルダイエット」とも呼ばれ、一人ひとりにあったお薬を選び過度な生活習慣の変更などもせず心身にかかる負担が少ないダイエット方法です。
- メディカルダイエットは低血糖のリスクがあると聞いたけど大丈夫?
- 過度な糖質制限行ったりせず、通常の食事をしている状態でお薬の用法・用量を守ることで低血糖のリスクは非常に低く限定的です。
- 注射タイプで刺すとき痛くないの?
- 注射タイプの針は一般的な採血で用いられている針(約0.8mm)よりもずっと細い針を使用しており、約0.33mmの極細針により痛みは少ない針となっています。
- 治療は誰でも受けられますか?禁忌は?
- 糖尿病の治療中の方や膵臓に病気のある方、治療中のガンやガンの既住歴がある方、妊娠中・授乳中の方、産後3ヵ月以内の方、極度に痩せている方は治療できません。